無線だけでも十分に楽しめるAPRSですが、たとえデジピータを数段介したとしても、安定してメッセージやビーコンのやり取りできる範囲は限られて
います。APRSにはインターネットを介して世界のAPRS局を結ぶバックボーンとなるネットワークがあります。このAPRSインターネット網に接続する
には二つの方法があります。
- あなたが無線で発信したビーコンやメッセージは、近隣のIGate局に受信され、自動的にこのAPRSインターネット網に流れていきます。
モービル移動など無線でひとしきりAPRSをやったら、帰宅してfindu.comで自分のコールを検索してみましょう。あなたが発したビーコンが数分前
のものまでそこで見られることに驚くでしょう。
- IGate局は、一度あなたの信号を受信すると、あなたが電波の届く範囲にいるものとみなし、インターネット網にあなた宛のメッセージがあれ
ば電波にゲートします。また、あなたがメッセージを送った相手局のビーコンも、インターネットから拾い上げて電波で送ってきます。これによりあなたは相手
局の位置を知ることができます。IGate局はあなたの信号が最後に聞こえてから一定時間(設定にもよりますが通常30分程度)は、あなた向けのメッセー
ジを電波で出し続けます。
- このメカニズムを用いれば、アメリカと日本のAPRSモービル無線局同士が双方でIGate局を介して、インターネット網を間接的に通って
チャットを楽しむこともできます。
- 自宅などインターネット接続がそこにあるときは、IGate局の助けによらずにAPRSクライアントソフトウェア(UI-Viewなど)を用
いて直接APRSインターネット網に接続できます。国内では現在下記のノードがありますのでつないでみましょう。詳しくは各ソフトのヘルプを参照のこと。
- 一旦インターネット網と接続すれば、同様に直接接続のある海外のAPRS運用局とメッセージ交換は難なく(電波、つまり1200bpsパケッ
ト通信、のような不確実性もなく)行えますし、世界各地のIGate局の受信範囲内にいるモービル移動局などともメッセージ交換が可能になります(ただ
し、モービル局の中にはメッセージ交換機能を持たずビーコンだけ発している局も多くあります。ビーコンにはメッセージが受け取れるかどうかの情報が含まれ
ていますので、クライアントソフトウェア上でメッセージの受信可否が判定可能です)。
- このほか、このAPRSインターネット網に接続することで、世界各地の気象局の観測情報などさまざまな情報がクライアントソフトウェア上で参
照できるようになり、APRSの楽しみが倍増します。
- ポート10152に接続すると、全世界の全てのAPRS局の情報が流れ込んできます。現在その数は5000局以上にのぼります。とりあえず日
本の局だけ見たい場合はポート14579につなぐのが簡便です。その他、ポート14580では、相手局の位置情報、プリフィクス、コールサインなどでフィ
ルタをかけて情報を取り寄せることができますから、連絡を取り合いたい海外局は別途フィルタで指定するのがスマートな運用と言えるでしょう。
- こちらの一覧から。ポート番号の指定は、上とほぼ共通です。
- 負荷分散やインターネットトラフィック軽減の観点から、なるべく国内のサーバに接続することをお勧めします。
(by JG1VGX)
[June 2021]